昨年産のりんご安値に引き続き、今年も早・中生種が安く、生産者は出ばなを伽挫かれた思いである。
平年より二週間早い開花は、各地に低温の被害を与え、結果的には例年にないサビ果の発生率となり、樹勢を考えて無理に着果させていることもあるが、その量は半端ではない。
また、つる割れの発生も非常に多くその要因として夏場の多雨が考えられている。特に八月の降水量の日量平均をみると、平年の四・七_に対し本年は八・九五_と極端に多く、その量は二倍以上にも及ぶ。生産量五〇%以上の比率を占める主力品種のふじにつる割れの発生が極端に多かったのも、この要因かも知れないと生産者は口々に言う。園地によっては五〇%の発生も見られている。生産者からの声を開くと地域差はあるものの無袋で三〇%前後、有袋でも一〇%前後の発生率となっているのが現状である。
近年特に多くなったふじのつる割れ。一昔前まではさほど気にならなかった。
一説にはボルドー液を使用しなくなってから多くなったという話もあるが、園地を良く見ていると、@着色系統でも発生の差異がみられ、着色の良好な系統ほど発生が多いA地域的に見ると、山手の発生が多いB樹から見ると、上枝より下降技が多いC葉取りを早く行ったほど多いD若木ほど多いEわい化栽培ほど多い、などその現象は様々である。
さて、前述のようにサビ果やつる割れの比率、いわゆるスソ物の割合は、生産者個々で選果後には総じて三〇%を有に越えている。王林やジョナゴールドが価格低迷のなか、ふじに頼るところがかなり大きくなっているだけに、主力品種の上実率が低下することは、農家の所得に大きく悪影響が出てくる。
このことに対し県はじめ関係機関はつる割れの確固たる原因究明と、出さないための対策や方策を早急に示すことが望まれている。生産者側からすると、一刻も早い予防方法の確立を願うものである。