それにしても今年は実に様々なことがあった。春の霜害から始まり、一部地域での降電や水害、無登録農薬問題、収穫期の天候不順等々。
自然災害については様々な対策がとられてきたが、それでも被害に見舞われることもしばしばで、仕方のないことと覚悟せざるを得ない事もある。しかし、人的な問題については未然に防ぐ手立てはあるはずである。特にこの度の無登録農薬問題については、農業関係者全体が骨身にしみる結果となった。これまでにない大きな問題であるが、大きな教訓も得られた。
こうした人的な問題は幾つかあるが、昨年と同じことがまたしても問題になった。収穫箱の不足である。
今年は特にふじ収穫期の天候が悪く、平成十年と同様りんごが凍るのではないかという不安の中で、一刻も早く収穫を済ませようと夜遅くまで躍起になっていた生産者も多かった。しかし、肝心の収穫箱が不足しているのではどうにもならない。折角収穫できる体制ができているのに収穫できないもどかしさ。りんごが雪に埋もれていくのを指をくわえて見ているだけの生産者の気持ちを察すると余りあるものがある。
平成十年もそうであったが、凍ったりんごは市場やなどから敬遠され、著しい低価格でしか販売されない。その負担の多くは生産者に覆い被さってくる。
もちろん生産者も事前に箱を準備しておくべきと反省する点もあるとは思うが、こうしたことはまさに「事前に防げる人災」ではなかろうか。
また、足りないものが高くなるというのは市場経済原理からすれば当然のことではあるが、肝心のりんごの価格が下がって、収穫箱の価格が上がるというのはどうも納得のいかないことである。生産者からは「りんごよりを空箱のほうが高い」と椰輸する声も多く聞かれた。
いずれにしてもりんご生産者あってのりんご産業である。根本である生産者が様々な面において安心してりんご生産に取り組める環境を作ることがりんご産業の継続には不可欠である.収穫箱だけに限らず様々な問題を率直に反省し、今後のりんご産業発展に活かそうではないか。